春の西日本侵略①──おかごは往きます東海道

まもなくゴールデンウィークですね。しかし、その始まりを告げる昭和の日は土曜日に雲隠れ。祝日が土曜にあるというだけで損した気分になります。八川です。

さて、今回は3月改正で消滅したスワローあかぎの駅自動放送をATOS管内の全駅で集めるという異常行動をしていた頃のお話。3月14日(火)、この日は北本駅の上りを確保したところから始まりました。

 

後続の上り列車で高崎線を南下し、浦和駅でもう1本収録。これで上りのスワローあかぎは全駅での収録が完了しました。

大して放送も面白くないのですが、籠原にあかぎが停車している映像を見たときに覚えた感動を、後世に「スワローあかぎ」という存在を知った方に味わってほしいなあという大層ご立派な考えで収録してました。言語化しづらいですが、今できることでやりたいことをやりたいなあ、というゆるーい感じです。使命とか義務とか、そういう感じだと趣味が苦しくなっちゃいますからね。

 

3連続くらいでやって来る10両編成に乗りたくなかったので、浦和からは京浜東北線で東京まで乗車。前置きが長くなりましたが、ここから西日本旅行と呼べる旅程が始まります。スワローあかぎはついででした。

 

東京からはこだま号で新大阪まで。一度はやってみたかった「こだま号全区間乗り通し」です。せっかく乗るなら速いほうが良いのはそうなのですが、のぞみは速すぎて旅行してる感じがしないんですよね。彼らの需要はサラリーマンに向いていることにして、旅の始まりの充足感を求めて鈍足でまいります。とはいえ、神戸まで普通列車だけですごろく旅してからだとこだまでも十分に速いことが身をもって分かります。

 

ちなみに、きっぷは有名な「ぷらっとこだま」ではなく「EXこだまグリーン早特」というものを使用。定価のぷらっとこだまに600円ほど追加するだけでグリーン車に乗れる優れものです。チケットレスですが、改札を通る際にこのようなご利用票が出てくるためしっかり記録にもなります。

 

車両は最新型のN700S何がN700Aと違うのは分かりませんが、指定席定価の60%ほどの値段で最新型のグリーン車に4時間も座れるなんてお得なことはありません。

 

10時57分、こだま719号は定刻通り東京を出発。有楽町付近では東海道線普通列車が並走してきました。しかし、沼津までしか行けないグリーン車とは訳が違います。こちとら4時間素晴らしい座席に座っとるだけで関西じゃ、と優越感に浸るわけです。セレブは違うのだ。

 

しかし所詮は一般市民、財布の紐を緩めている場合ではないため、お昼には駅弁を買う見栄を張りながらも非常に安い部類に入るチキン弁当を食します。旨いから良いもん。

 

列車はほぼすべての駅で数分停車し、のぞみ・ひかりに抜かれたり抜かれなかったりしながら東海道を下ります。臨時のぞみに対応しているとはいえ、何も通過しないのに長時間停車するのはちょっと寂しいものがあります。

1年前に謎の新幹線課金をした思い出の地・豊橋には13時02分に到着。東京を出てわずか2時間で愛知県です。これよりも速いのぞみはもはや人類の叡智を超えた何かに思えてきます。

 

14時51分、こだま719号は終点の新大阪に到着。新幹線は京都までしか乗車したことがなく、新快速でも通過はしたことこそあれど降りたことはなかったので、真の初訪問です。シンプルですが洗練された駅名標が良いですね。

 

JR西日本が管轄する在来線ホームに移動します。こちらもダイヤ改正を控えており、4日後に隣の大阪駅で「うめきたホーム」と呼ばれる地下ホームが開業。おおさか東線が延伸する形で乗り入れるほか、今まで貨物線を経由するため通過せざるを得なかった特急たちが大阪に停車できるようになる一大改正です。それに備えて、隣の新大阪駅でもこのように発車標がワクワク状態になっているというわけです。開業してからはひたすら「大阪」って出してるんでしょうかね。

 

番線標も改正に合わせて交換済。下には改正後の案内が待機しています。今は3番のりばにおおさか東線の大阪行が入るようになっているみたいですね。

 

新大阪からは、改正後2番のりばから発車するようになった特急「くろしお」で和歌山県を目指します。くろしおに使用されている車両は3種類ありますが、こちらは最古参の283系。「オーシャンアロー」の愛称を持ち、「海と太陽が大好きな列車」として1996年にデビューした特急列車です。私はそんな283系が大好きな列車で、長年の念願が叶い最高潮です。

 

紹介が遅れましたが、今回使用するきっぷは「西日本どこまで4DAYS」。特急券を買えば特急に乗れる西日本版18きっぷです。つまり、特急に乗れば乗るほどおトクになるわけです。事情があり今回は3日間しか滞在できなかったため、4日分で考えられている値段設定を3日分で頑張ります。特急漬けの3日間が始まります。

 

そのトップバッターを飾る「くろしお」は、京都・新大阪から和歌山県の白浜・新宮を結ぶ、西日本側の南紀特急です。283系車両の運用は現在新大阪発着のみで、新宮へ向かうのは乗車中の17号だけ。午前中に新宮へこの列車で向かうことができないのは残念ですが、まだまだ現役。引退の噂もあるので、早いうちに乗れて良かったです。

 

19時28分、終点の新宮に到着。4時間にもわたるロングランで阪和線からきのくに線を走破。きのくに線紀勢本線の和歌山~新宮駅間につけられた愛称で、新宮から先はJR東海の管轄となっています。これで和歌山市和歌山駅間を含めたJR西日本区間はめでたく完乗となりました。

 

この日は新宮に宿泊し、翌朝の一番列車ですぐに関西へ戻ります。本当に乗るためだけに来た弾丸旅行です。通過駅の中にも魅力的な駅があったので、今度は普通列車でじっくりと味わいたい区間ですね。

 

我々を関西に引き戻すのはくろしお12号の京都行、車両は昨日と変わり289系です。本来は交直流双方に対応し、北陸特急として活躍していた683系を直流のみ走れるように改造した形式で、北陸新幹線開業に伴い車両が余ったためくろしおになりました。和歌山の海岸線をぐるっと回ってきたにもかかわらず北陸にいる感覚です。

昨日乗車した283系と、くろしお向けに新製された287系は大阪府日根野にある車両所に所属していますが、289系はかつての名残で京都所属。そのため、1往復のみ設定されている京都発着のくろしおには入出区を兼ねて必ずこの289系が使用されます。

 

6時29分、列車は京都を目指し出発。留置線には昨日乗車した283系と、JR東海側の特急「南紀」に充当されるキハ85系がいました。会社の違う特急どうしが並んでいるのを見ると楽しい気持ちになりますが、ピントが手前になっており悲しい気持ちになりました。

 

絶景を横目に、車内では阪和線内で人身事故が発生したとの情報がアナウンスされました。ただしこの後の旅程には空き時間があるので「むしろ乗車できる時間が増えるじゃん」と軽く考えていました。時間の余裕は心の余裕に繋がります。

 

和歌山を出て阪和線に突入するといきなり減速開始。訳の分からない踏切を塞ぎながら駅間停車してしまいました。しかも廃止候補らしいです。待っている人がいないことから理由は察しがついてしまいますが、ちょっと悲しいですね。遅延しなければ存在すら知らなかったであろう踏切に哀憐の情が湧いてしまいます。

 

日根野手前では関西空港からやって来た「はるか」を横目にゆーっくりとホームに進入する楽しい状況を見ることができました。このままだと特急を2連続で通すことになり、遅延が悪化する一方な気がします。

 

新今宮からは大阪環状線に合流しますが、定刻運転の普通列車が優先されたため停車、続行をノロノロと走ることになりました。この時点で30分ほど遅れています。普段なら焦るところですが、「どこまで最悪な運転整理をするんだろう」と状況を楽しむことができています。それはそれで趣味が悪いですね。

 

11時45分、定刻より28分遅れて終点の京都駅に到着です。5時間を超さないはずだった乗車時間が遅延のおかげで突破してしまいました。改正からはうめきたホームを経由するようになり、大阪に停車するようになった代わりに西九条は通過となったため、駆け込みで貴重な経験もできました。

 

京都からは新快速ですぐさま折り返し、大阪に向かいます。遅れこそしましたが旅程にはまだ1時間ほど余裕があるため、大阪環状線に乗車します。

 

お目当ては山手線・大阪環状線で同時開催されていたウマ娘ラッピングです。日中6運用に対してラッピング編成は内回りに1本しか入っていなかったため、外回り側のラッピングは撮影することができませんでした。ありがとう、浪速のニシノフラワー

 

こちらは山手線のラッピング。同じイラストとキャッチコピーを使用していますが、サイズが異なります。皆さんはどちらが好みでしょうか?もちろん、ニシノフラワーがかわいいので、両方ですよね。

 

ラッピング撮影と昼食のため、ホームドアがなく駅前に松屋があった野田駅で待機していたのですが、そこを昨日乗った283系が颯爽と通過。新宮を8時半に出発し、新大阪に13時前に着いてから回送で通過していくところらしいです。昨日和歌山の奥へ連れて行ってくれた車両とまさかこんなところで再会するとは。

 

大阪に戻り、JR神戸線山陽本線を乗り継いで一気に岡山へ。まだまだ当たり前のように115系が走っている地域ですが、227系の足音が着実に聞こえてきています。ここ最近は高頻度で試運転をやっているようで営業運転開始が楽しみですが、引き換えに末期色との別れは非常に惜しいところです。早いうちに"普通列車なのに陰陽縦断"してしまう伯備線の岡山発米子行を乗り通したいですね。

 

駆け足になってしまいましたが、キリが良いのでパート1はこれにて終了。次回は山陰に向かいながら帰ります。帰る気あるんか?

 

次回 波にぷわ、身をあずけ

特急やくもで出雲市へ。混色っていいですよね。