志摩関西回遊③──みなさま~(聖地巡礼)

おはようございます。八川です。志摩関西回遊4日目の朝、目にくまができそうです。前日は伊勢市駅から少し離れたところにあるネットカフェに宿泊しました。夜が明け、ナイト8時間パックの料金にしたい我々は早々に退却。しかし本日の目的地がオープンするまでは時間があることから、暇つぶしがてら寄り道をしています。

 

近鉄山田線 普通 鳥羽行 6:43伊勢市→6:52朝熊

時刻は午前7時。私たちは、知らない駅にいます。

6時半にララパークを出る初発のバスに乗車し、伊勢市駅まで移動したところでやって来た鳥羽行の普通列車に飛び乗り。暇つぶしのため駅巡りを敢行することにしましたが、宇治山田、五十鈴川といった特急が停車する著名な駅はあえて避け、その次に到着した朝熊駅で下車。聞いたこともない駅の周辺を散策して時間を潰しています。

 

そもそも駅の存在を知らなかったため「間違って読んでた!」ともならないのですが、朝熊駅はこの字で「あさま」と読みます。大文字で書かれると189系の側面を思い出しそうです。ひらがな表記がないため漢字とローマ字に強烈なギャップを感じます*1

 

ホーム全体。鬱蒼とした雰囲気ですが、列車が到着する前になると学生たちがぽつぽつと集まっていました。しかし通勤需要はなさそうでした。

 

近鉄鳥羽線 急行 鳥羽行 7:17朝熊→7:22池の浦

同じ駅に留まっていてもしょうがないので、次の駅に向かいます。やって来たのは鳥羽行の急行。鳥羽までの各駅に停車しますが、当駅時点でもまだ急行を名乗っていました。余裕で座れましたが、おそらくはこの運用よりも折り返しの鳥羽始発のほうに需要があるのでしょう。

 

池の浦駅に到着。名前からして海が近そうですがその通りでして、鳥羽から先のさらに本数が少なくなる区間よりも海が見たいよね、という意見で一致し、海へ向かうことにしました。さすが埼玉県民の血が流れているだけはあります。

 

写真をズームすればお分かりになるかと思いますが、周辺よりも高台にある駅のホームから左側に海が臨めます。

 

海に向かう途中の信号機はものの数分で自我を失いそうな状態に陥っていました。

 

ディストピアを感じる信号機から海へと続く道を臨みますが、到底海に続いているとは思えません。人通りもなく、道中にあった廃墟らしきホテルのような建物までは舗装されていた道も、ギリギリ車1台が通れるほどの狭さになっていきます。

 

道中にはキノコも生えていました。画面中央付近はシバフウラベニタケのように見えますが、詳しく確認していないのでよく分かりません。プロでも見間違える可能性がありますから、こんないち趣味者のブログで同定するようなマネはできません。何せこいつがシバフウラベニタケだとすれば毒性不明ですからね。食用だと思われてきた種が実は致死性の高いものだったというエピソードもあるキノコのことです、命の保証はできません。

 

陸路をたどって行ける限界に到着。手前にボートが見えるように、本来はこの砂地も海になるようで、Googleマップも「ここは海だよ」と言っているのですが、潮が引いている時間のようで一面まっさらでした。Rがさらに先へ向かおうとするも、数歩入ろうとした時点で地面がぬかるみまくっていたため断念。我々と海を隔絶するのはJR東海参宮線。池の浦、という地名で参宮線にあった池の浦シーサイド駅を想像した方は多いのではないでしょうか。同駅は先ほどの終末信号機よりさらに先へ行ったところの脇道に位置する、1989年に開業した臨時駅でしたが、利用僅少のため2020年をもって廃止。旅客線上にある駅としては唯一のJR東海の廃駅*2で、廃止とともに同社からカタカナ(飛騨一ノ宮駅の「ノ」みたいなのはありますが)と臨時駅という存在がなくなりました。

 

少し待つと、参宮線普通列車として運用されるキハ25形がやってきました。2両編成でトコトコ走っております。近鉄が圧倒的な強さを誇るこのエリアでもJR東海参宮線を見放すことはなく、名古屋から鳥羽を結ぶ2~4両編成(4両が大半と書きましたがごく一部らしいです)の快速「みえ」を10往復強も走らせています。自由席であれば追加料金不要ですが、途中で伊勢鉄道を通ったり、多くの区間が単線だったりと制約が多く、参宮線を見下ろすような形で奥を通過する長大の近鉄特急を見るとその差は歴然です。

 

駅に戻ります。行きでは気づかなかった超アバウトな看板も。ここも伊勢市なんだから伊勢だろう。

 

イヤホンの左右を間違えて取り付けているセブンイレブン

 

駅に到着。先ほど左側、賢島方面から北には海が見えましたが、伊勢市方面から南を向くととんでもない山道になっていました。人の気配すらありませんが、どこに続いているんでしょう……さすがにこの道を進む時間と勇気はなく、次に来た電車に乗ることに。

 

近鉄鳥羽線 急行 鳥羽行 8:30池の浦→8:33鳥羽

鳥羽止まりの列車でひとまず鳥羽へ。近鉄の車両は種類が多すぎてこれが何系なのか、珍しいのか、てんで分かりません。

 

鳥羽までは1駅。折り返しはなんだかカッコいい「普通 明星行」。車庫が併設されている駅ですが、上り列車としては平日の朝、この1本だけの運用らしいです。下りでは終電として途中駅で日を跨ぐロマンティックな明星行もあるようで、ちょっと乗ってみたいですね。

 

近鉄志摩線 特急 賢島行 8:53鳥羽→9:10志摩磯部

我々が乗車してきた鳥羽行の後に続く賢島方面は、同じく鳥羽止まりの普通、賢島行特急、賢島行特急、賢島行普通というラインナップ。普通列車を待つとなると当駅で1時間弱待たされるわけですがご安心ください、我々には最強のきっぷ「まわりゃんせ」があるではないですか。

前回でも触れましたが、この最強きっぷには松阪~賢島駅間の自由乗降区間で使うことのできる特急券引換券が4枚もついています。特にこの先、鳥羽~賢島駅間においては普通列車が毎時1本、トコトコ2両編成でやってくるため、これだけでは伊勢志摩観光を満喫しきれない!という時のための救済策です。これを活用しない手はありません。やって来た1本目の特急に乗車します。

 

車内は存外新しめで、調べてみたところ22600系(AF)という2009年デビューの車両らしいことが判明。→追記:と思ったら乗ってる車両は後ろの22000系らしいです。近鉄の汎用特急に2010年付近の血が流れているとは思っていなかったので驚きつつフルカラーの車内LEDに目をやると、「三 重…くもりのち」という不穏なメッセージがスクロール。実はこの旅行当時、猛烈な勢力で先島諸島に接近し、付近で停滞したため動きが予測しづらかった台風11号が長崎付近を北上中でした。当初は西日本を縦断するおそれもありましたが最悪の事態は免れ、しかし強大な勢力の強風域には入っており、予断を許さないという状態でした。今日は屋外でのイベントがメインであるため、雨雲には避けて通っていただきたいところ。

 

たいへん雰囲気の良い特急に目的地まで揺られていたいところでしたが、特急券は次の停車駅である志摩磯部までのためやむなく下車。旧磯部町の中心駅であったため、今でもしまかぜを除くすべての定期列車が停車する中規模の駅です。

 

なるほどたしかに大きい駅ですが、その割には広告や掲出物がほとんどなく、人の姿もなく、がらんどうとしています。派手な色使いをした床面と真っ白な天井と壁面が得も言われぬギャップを生んでいます。

 

駅舎の外観はおおよそ日本風ではなく、西欧を感じさせる雰囲気。地元利用が中心の駅でこのような駅舎になるとは考え難く、となると観光客がたくさん利用する"何らか"をモチーフにしたものであると推測できます。しかし駅前はご覧の通り、観光客の姿も賑わいもありません。"何らか"はもう閉業してしまったのでしょうか。

 

駅前には「ポイ捨て禁止のまち 磯部町」という独特なキャッチコピーを掲げる看板が。なんか似たような町がどこか山口県のほうにもありましたね

かつては多くの客がこの駅周辺を利用し、一部にマナーのなっていない人もいたということでしょう。このように幅広い客層が集まる施設となると、ちょっと絞れそうな気がしてきます。

 

駅に戻ってみると普通では考えられない内装や建築に溢れていることが分かります。しかしその"施設"を想起させるような掲出物は一切なく、それが閉業していたとしたら不自然な状態です。

 

上りホームに降りると、発車標として絶滅危惧種の反転フラップ式案内表示器(通称:パタパタ)が設置されていました。

 

下りホームはこんな感じ。留置線としてのみ使用されている3番のりばが1番のりばの横にあり、東から3・1・2番のりばとなかなか気持ち悪い並びになっています。河辺駅は番号振り直すのに……

 

近鉄志摩線 特急 賢島行 9:30志摩磯部→9:37鵜方

その"施設"が何者なのかは一旦置いておいて、駅巡りを済ませ次の特急に乗車。これでまわりゃんせのフリー特急4回分のうち3回を贅沢に使ってしまいました。

車両はおなじみの近鉄汎用特急ですが、これが何系か分かっていないのでひょっとするとおなじみではないかもしれません。近鉄の車両形式について当ブログでは理解を放棄していますのでご承知おきください。

 

次の停車駅である鵜方駅で下車し、何やらデカめのバスに乗り換えています。この形で頭上に降車ボタンが並んでいる光景はなかなか新鮮ですが、一体どこへ向かうのでしょう。

 

三重交通 志摩スペイン村行 9:50鵜方駅前→10:02ホテル志摩スペイン村

みなさま~(聖地巡礼

というわけでやって来ましたは志摩スペイン村三重県志摩市磯部町にある、スペインをモチーフとした近鉄のテーマパークです。

そうです、先ほど訪れた志摩磯部駅にあった数々の違和感は、かつて志摩スペイン村の最寄駅として抜擢され栄耀栄華をきわめた名残を色濃く伝えていたのです。

 

かつて磯部町に所在した志摩スペイン村は、合併により自治体が志摩市に。2007年には志摩磯部駅から出ていたバスを志摩市の代表駅である鵜方駅発着に移動することで、志摩市観光の玄関を一本化することにしました。この変更によって志摩スペイン村そのものは動いていないのに最寄駅が変わり志摩磯部駅スペイン村開業とともに改築した駅舎を持て余すことになってしまったのです。実働時間(今も地元利用があるため語弊はありますが)は1994~2007年のたった13年、今となっては大きな役目を失ってからの時間のほうが長くなってしまっています。

一応はまとまった利用があるので廃止にはならなさそうですが、かつての用途を喪った状態で半ば放置されているのは非常に興味深い事例だと思います。

 

というわけで、本日の目的地はここ・志摩スペイン村です。本日の残りの予定はここで遊び呆ける、それだけです。全力で楽しもうと思います。

しかし、オタクのくせしてなぜ三重に来てまでテーマパークで遊ぼうとしているのでしょうか?否、オタクだから志摩スペイン村にやって来たのです。

 

www.youtube.com

何を隠そう、R含め我々が志摩スペイン村を知ったきっかけは、バーチャルYouTuberである世怜音女学院中等部一年演劇同好会所属にじさんじも所属の周央サンゴさんなのです。そもそも、この志摩関西回遊の発端はRが「志摩スペイン村、行きたくね?」と私に持ち掛けたのが始まり。つまり旅行のメイン・イベントとして据えているのが今回だったのです。

動画内で熱く触れられていたのがチュロス。手前に伊勢神宮鳥羽水族館などの観光地があるせいでテーマパークにしてはガラガラであるというこの志摩スペイン村(本当にガラガラでした)、チュロスを注文すると作り溜めがなく焼きたての状態でたいへん美味しく食べられると大絶賛。恥ずかしながら固そうなイメージがあり今までチュロスを避けてきた私ですが、せっかくならとシナモン味を注文。焼くために数分待たされ出てきたチュロスをガブリ。サクサクモチモチでめちゃくちゃ美味いじゃん!なおR曰く「ここが初めてのチュロスだと他が食えんくなると思う」とのこと。

 

あとは遊び呆けます。ジェットコースターなどの絶叫系もあったものの、写真があるわけがないので概ね割愛。当時はこの記事の内容の薄さを懸念していましたが、志摩スペイン村に着く前のことをダラダラと書いたのでここまでで5000文字弱、意外となんとかなりました。こちらはデンジャラスなルートを経由しつつ園内のエリアを一周する遊覧機関車。

 

不思議の国のアリス」内でスペードのQを見つけてスペQポーズをとる八川。なんだこの絶望的なビジュアル。

 

※元ネタ。エミリーかわいいよエミリー。EMT*3

 

「氷の城」に設置されためちゃくちゃ冷たいベッドに横たわるR。じょしらく最終回?

 

キャラクターミュージカル「パティオ デル カント~ダルシネアの秘密の花園~」。誕生花をテーマにした楽曲をキャラクターが1曲ずつ披露していく演目……なのですが、諸事情により7月まで歌ったところで突如ショーが中止に。10月の歌聞きたかったんだけど!!

 

しかし空は予報とは大違いの青空、考えられるのはキャストの体調不良。翌日のミュージカルも全公演(同じ演目を2回)が中止になっていたため、推測が正しければ不安この上ないことですが……。ニュースになっていないのでおそらく大丈夫だとは思いますが。我々としては予報が外れて嬉しいのですが、ちょっと手放しに喜ぶのはよろしくないですね。

 

6時間ほどかけほぼすべてのアトラクションを回った後は隣接するホテル志摩スペイン村へ。ネットカフェ宿泊であった昨日に比べ格段に質が向上しております。予約した時点では正直テーマパークよりこの部屋のほうが楽しみでした。私は旅先のテレビを適当に点けてダラダラ~っと観るのが好きなのですが、Rはイヤホンをしてアニメを視聴していました。ちょっと悲しい。

 

夕食・朝食つきのプランで申し込んだため食料の心配もいりません、というより、こんなところに泊まっておいて心配する必要がありません。ンゴちゃんが動画で言及していたスペイン料理を選択、まず出てきたのはピンチョス盛り合わせ

 

野菜のクリームスープ。極度の野菜嫌いな私ですが、旅の高揚も助けてか味付けが良いのか、ゴクゴクいけました*4

 

牛ロース肉のグリル。大好物につき時間をかけて食べました。

 

もうこれだけでも十分なのですが、ここで後続に構えていたのは主食級の海の幸パエリャ(Rがかっさらっていった後のすがた)。こんな立派なエビはじめて食べました。うまいうまい。

 

デザートに頬を落としスペイン料理コースは完結。非常に濃い1日になりました!

この後は志摩スペイン村を構成する施設の一つである「ひまわりの湯」を堪能し終了。通常1,200円、志摩スペイン村入園の場合は900円ですが、近畿日本ツーリストからプランを予約すれば入湯税だけで済みます(150円くらいでした)。皆さまも近鉄遠征の際にはぜひ、お時間を作って志摩スペイン村へどうぞ。

 

次回 輝いてる僕らを映して

こいついっつも水族館行ってんな。

*1:ホーム端にあった建植式のものは新タイプで、ひらがなが併記されていました。

*2:ほか東海道貨物線にありながら旅客列車を走らせたナゴヤ球場正門前駅、JR東海としては廃止され愛知環状鉄道に移管された7駅、貨物のみ発着していた西名古屋港駅

*3:エーリカマジ天使。キャラクターが違う。

*4:コーンスープをゴクゴクいくな。