八川、八川線を語る

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しばらくテレビアニメから離れていたら、とりあえず録画していることを忘れていて100本以上溜まっていることに気づき発狂している八川です。

 

もういくつ寝るとダイヤ改正の日がやってきます。今年のJR東日本は去年の湘南ライナー廃止、185系の定期運用終了や215系の引退に比べると、運行終了する愛称つきの列車はなく、引退するのも宇都宮線日光線205系のみ*1と、比較してしまうと地味な内容になっています。それでも、日ごろ埼京線を使っている身として、旧ハエ車の引退には寂しいものがあります。

しかし、この春音鉄、特に発車メロディを収録されている方々は大忙し。3月12日(土)より、新型車両が投入される宇都宮線日光線・相模線、そして既存車両を改造した八高・川越線がワンマン化され、発車メロディを扱わなくなるのです

かく言う私は発車メロディ名を出されても曲と一致しないものがある程度には関心がなく、改正で消える自動放送も去年とは違い全く追いかけていないのですが、八高・川越線は好きな鉄道路線ですから寂しいなと思っています。思ってるだけです。

で、気づいたらFFの音鉄の方が、ワンマン化されるまでの駆け込み収録の結果報告においていちいち「八高・川越線」と言うのが面倒になったらしく「八川線」と略してツイートされるようになりました。八高線が八王子と高崎を結んでいるから八高線ですから、現在の運行系統からしたら八王子と川越なので八川線が適切であるのは分かるのですが。私やん。

これが微妙に音鉄間で広まった結果、TLに表示されるFF外の音鉄方から突然「八川」と呼び捨てされるようになりました。八川線じゃなくて完全に八川です。

そこで今回は、この春に八高・川越線で何が起こるのか。そして私が八高・川越線を好きになったキッカケなどなどを記していこうと思います。

 

  • この春、八高・川越線で何が起こるのか

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先述の通り、八高・川越線では3月12日(土)からワンマン運転が開始されます。2020年中ごろから同線のE231系3000番台・209系3500番台にワンマン対応改造が施工され、2021年10月に終了。改正より全線でワンマン運転を開始します。

 

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高麗川まで乗り入れてくる中央線の電車はワンマン運転に対応していないため、同日をもって直通運転を終了します。この運用だけツーマンで残すのかと思っていましたが、今のJR東日本にそんなものを求めてはいけなかったのかもしれません。1996年3月の八高線(八王子~高麗川駅間)電化開業をきっかけに乗り入れが始まり今日まで続いてきた乗り入れがこんな形で終了してしまうのは残念極まりません。

ただ、2023年には青梅線の青梅~奥多摩駅間でワンマン運転が開始されるようで、そのままE233系0番台全車にワンマン改造工事が施工されれば、復活する可能性も無きにしもあらず?と思っています。ただ青梅線の奥を走る0番台と八高線に乗り入れてくる0番台では運用が完全に分かれているのが問題ですが。

 

ちなみにこの中央線直通関連運用の穴を埋めるため、八高・川越線は中規模のダイヤ改正を行います。そのひとつに「南古谷始発・拝島行」という珍妙な運用が平日の朝早くに新設されます。これは車庫が川越よりも東、南古谷の近くにあることから、送り込みのついでに南古谷から客扱いを行う出庫運用(75運用)であることと、現在は6時後半に拝島の留置線を発ち、拝島始発川越行に充当される67運用が、それより早く高麗川に向かう中央線車両の運用がなくなることにより更に早起きしなくてはならなくなり、6時台後半の拝島始発下りが消滅してしまうため、従来高麗川止まりだった75運用を拝島まで持ってきて折り返しの拝島始発下りにしてしまおうという魂胆から生まれたと推測されます。

 

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そして、先述の電化開業により完全に系統が分断され、八川線の原理で言えば高高線(高麗川高崎駅間)状態になっている通称・八高北線にもテコ入れが。

以前より減車や児玉~小川町駅間の減便がちょくちょく行われている同線ですが、完全なワンマン化はなされていません。そのため3月以降は、南線と北線の境界駅である高麗川では4両編成の電車が発車メロディを鳴らさず、2~3両編成の気動車が発車メロディを鳴らしていくという奇妙な光景が見られることが期待されていました。

しかし、実際には北線にも恐ろしい変更が。

改正と同時に北線は1行路を除きすべてワンマン化高麗川で発車メロディを扱える列車はたった2本に減少します。

車両運用にも衝撃の変更が。昼間の1往復ですが、なんと1両による運用が登場します。来るところまで来てしまった感があります。一部3両の運用も2両に減車され、所属している単車9両、ユニット6本が暇を持て余しそうです。

 

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一部の八高線クラスタでは2年前に試運転で走行したGV-E400系を思い出し、「1両の八高線ってこれか!」と盛り上がっていました。これ試運転の幕隠せば営業運転って言ってもバレないですかね(バレます)

 

以上がこの春、八高・川越線に起こる変化でした。個人的には中央線直通の廃止と北線の単車運用がかなり衝撃的です。特に前者は東京まで1本で行けなくなるなど、明らかな利便性の低下が残念でしかたがないです。

 

  • 八川と八川線

ここからは完全な自分語りです。まあブログは自分語りをするところなので問題ありません。自分と八高線について書いていこうかなと思います。

 

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▲いつ撮ったかも覚えてない八高線 窓が改造されてるので2007年以降ではある

 

私は信州で生まれ、209系をきっかけに鉄道が好きになりました。これほど奇妙な経歴もないのですが、東京に出て横浜ベイスターズ(当時)の試合を見に行くために乗った京浜東北線をきっかけに、まあ信州では聞かない独特のVVVF音に惹かれていったようです。特急あずさに乗って東京まで行くと八王子で留置線に停車している八高線の車両を見ることができるので、それもあったかもしれません。

まあそんなこんなありまして埼玉に移り住んで以降は1本で八高・川越線に会うことができるようになったので、当初は209系に乗ること目的で結構通いました。

 

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▲種類の豊富さでは最も面白かった2016年度終了時点

乗っているうちに気になったのが駅自動放送。過ぎる駅過ぎる駅、全く自動放送の声が違うのです。これには自動放送を右から左へ受け流す程度のムーディ勝山状態だった私もビックリ。当時は──というよりも機材買ったの令和に入ってからですが──密着用の道具を持っていなかった私は、カメラでスピーカー付近に立ち、電車を映しながら自動放送を記録するのでした。

自動放送の面白さでは高麗川・拝島に東海道型の残っていた2010年末ごろが最盛期だったと考える方は多いと思いますが、自動放送の種類では2016年度が最も面白かったと思います。放送の流れる駅が18駅に対して9種類。文面の不一致や声優の違いを別個でカウントすれば12種類にものぼり、私的には乗っているだけでも耳が楽しい、そんな路線でした。

 

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ちなみに記事執筆時点ではこんな感じ。川越線ATOS放送が更新され、中小規模駅はすべて巌根・館山型に。高崎線に合流する倉賀野・高崎は新型の自動放送ですが、八王子・高麗川の旭型と同様に人ではなく合成音声の放送であるため、レパートリーでいえば質素な路線になってしまいました。

合成音声は自由な文面を生成できるところがメリットですが、高麗川はむしろ文面がつまらなくなりましたし、それ以上に、簡易放送ながら地味に放送パーツの多い巌根・館山型の文面がほぼ統一されてしまったのが残念でなりません。

 

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▲当時発売されていたカラフルコーラと、なんか色合いが似てる209系3000番台

 

そんなこんなで209系に乗っているうちに八高線そのものにも興味が湧き、各駅で降りたり、沿線を歩いてみたりしていたのがちょっとの間続き、ほどなくして車両の転配が始まりました。

中央・総武線から追い出されたE231系と209系を改造し、八高・川越線に転属させることで、205系と209系の置き換えが始まりました。209系で209系を置き換えるという事態となりましたが、実はこれが3回目*2ということで全く驚きませんでした。中央・総武線からやってくる209系3500番台は拡幅車体ですから一応変化はあるのですが、それでも製造時期が2年しか違いませんので車両計画は粗雑な気がします。

 

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▲2日間の幻に終わった編成札(南吹ひよこ様撮影)

 

ほどなくして205系3000番台が自壊*3し運用終了、矛先は209系へと向かっていきました。2018年7月に1本、10月に1本。年が明け2019年1月と2月に1本ずつ運用を離脱し、209系3000番台は八高・川越線に生まれ、八高・川越線で使命を終えました。最後の1本はラストラン装飾はなく、あまりに突然の離脱だったため、最後の瞬間には立ち会えませんでした。

 

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▲8両編成になって静かに眠るハエ63・64

 

運行を終えた3000番台は各地に散りました。ハエ61は宇都宮運転所、ハエ62は東大宮センター、ハエ63・64は下新田信号場へ。結果的にはハエ62のみ中間車が東大宮の訓練機会に転用され、他はすべて解体されてしまいました*4

 

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そんなこんなで209系3500番台によって3000番台はあっという間に全滅しましたが、しばらくは旧型車が残り続けました。それが写真右、209系3100番台です。ふつうの209系と比べるとどう見たって違和感のある特徴的な丸みを帯びた見た目は、この車両が新車ではないことに由来します。

 

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3100番台の種車となったのは東京臨海高速鉄道りんかい線の70-000形、これを無理やり209系顔に塗り替えたゆえにあの見た目になっているわけです。導入の経緯は複雑になるのですが、簡単に言えば全部埼京線のせいです*5

この3100番台は2本が存在したのですが、E231系・209系3500番台の導入後も引退せず走り続けました。E231系・209系3500番台をワンマン化改造する間の予備車として延命された形になります。

なお、予備車ということでもちろん3100番台はワンマン化工事は受けず、2021年10月に工事は終了。11月に1本、12月にもう1本が離脱し、2022年1月のありがとうイベントをもって表舞台から姿を消しました。このイベントには参加したかったのですが、発表された時点ですでに実施日に予定があり発狂しました。

現在、ハエ71は大宮駅で留置中、ハエ72は川越車両センターに留置中です。ハエ71は去年185系がいた位置におり、この185系は状況証拠から解体されたとみて間違いないためかなり先行きが不安な状態です。八高・川越線に209系は残り続けますが、姿を消す209系もいます。5年前には確定していた事項とはいえ、やはり寂しいものです。

 

あと半月もすれば全車ワンマン化され、いま私のTLで時折見かける「八川線」という略称もぱったり見かけなくなると思われます。車両転配は終了し、中央線は来なくなり、1両の列車も誕生し、車掌も消えるなど、寂しい話題の続く八高・川越線ではありますが、それでも素敵な路線であることに変わりはありません。

いま発車メロディを収録している方も、まだ乗ったことがない方も、すでに八高線を愛してやまない方も、ぜひ改正後の八高・川越線を気にしてみてください。藤岡、寄居、日高、飯能、昭島、すてきな街があなたを待っています。駅巡りをするだけでも楽しいと思います。このブログのバナー画像は明覚駅で撮影したものです。関東の駅百選にも選定されている駅なので、ぜひ行ってみてください。さっきから何様なんだ私は。

 

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ちなみに次回予告。八川「線」のあとは、八川……?お楽しみに、というと本格的に何様なんだという話になるので、心の片隅に留めておいてくださったら幸いです。

*1:相模線の205系は改正を前に全車離脱した

*2:1回目は京浜東北線において500番台が試作車の900番台3本を置き換えた例、2回目は京浜東北線から更新工事を受け南武線に転属した2200番台が南武線生え抜きの0番台1本を置き換えた例

*3:ラストラン編成札になったのち入庫運用まで運行されるはずが、変更2日目にドアが閉まらなくなり運行不能に。

*4:2020年のJR四国ではキハ40系を使用してハイブリッド試験を行っており、その際に履いた台車が209系の廃車発生品とされています。時期的にこれらの車両のどれかである可能性が高いとされています。

*5:ハエ86・87になる予定だった205系埼京線増発に回し、りんかい線埼京線増発に伴い全車埼京線と直通できるようにするための10両化で車両が余ったため